セカンドライフ、自分史・家族史を綴る:豊かな時間を振り返る手軽な一歩
新しい時間で人生を振り返る
退職後、自由な時間が増えたことで、これまでの人生をゆっくりと振り返る機会ができたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。せっかくのまとまった時間をどのように使おうか、色々と考えている方もいれば、少し立ち止まってしまっている方もいるかもしれません。
そんなセカンドライフの時間で、過去を整理し、現在を見つめ、未来へと思いを馳せる活動の一つとして、「自分史」や「家族史」を綴ってみるという選択肢があります。
自分史・家族史を書くことの価値
「自分史」や「家族史」と聞くと、「なんだか難しそう」「特別な人が書くものでは?」と感じるかもしれません。しかし、決して大げさなものである必要はありません。これは、ご自身の人生や、ご家族との歴史を、ご自身の言葉で記録していく、非常に個人的で価値のある営みです。
書くことによって得られるメリットはたくさんあります。
- 人生の整理: 過去の出来事や感情を文字にすることで、ご自身の人生を客観的に見つめ直し、整理することができます。
- 新しい発見: 忘れていた思い出や、当たり前だと思っていた出来事の中に、新たな気づきや学びが見つかることがあります。
- 脳の活性化: 記憶を辿り、構成を考え、文章にする作業は、脳にとって良い刺激となります。
- 家族への継承: ご自身の経験や価値観、家族の歴史を記録として残すことは、将来、ご家族にとってかけがえのない財産となる可能性があります。
これは、体力維持とは異なりますが、心の健康や知的な活動として、セカンドライフの時間を豊かに彩ってくれる可能性があります。
手軽に始めるステップ
「書いてみたいけれど、何から始めたらいいか分からない」という方もご安心ください。自分史や家族史は、必ずしも壮大な物語や完璧な文章である必要はありません。まずは、ご自身ができることから、気軽な一歩を踏み出してみましょう。
ステップ1:テーマを決める
いきなり全てを書こうとせず、まずは「何について書きたいか」をざっくりと決めてみましょう。
- 自分の子供時代について
- 仕事人生で特に印象的だったこと
- 趣味に没頭した時期の思い出
- 家族との旅行の記録
- 苦労した経験とその乗り越え方
- 食の思い出
- 特定の期間(例:結婚してから子供が独立するまで)
このように、範囲を絞ると書き始めやすくなります。もちろん、「特にテーマは決めず、思いつくままに書いてみよう」というのでも構いません。
ステップ2:情報を集める(手元にあるものでOK)
書くためのヒントとなるものを、身の回りのものから集めてみましょう。
- 写真: アルバムやデータフォルダを見返すと、当時の記憶が鮮明によみがえります。
- 手紙やハガキ: 過去のやり取りから、当時の状況や気持ちを思い出す手がかりになります。
- 日記やメモ: もしつけていれば、そのまま貴重な資料になります。
- 思い出の品: 小さな品物一つにも、忘れられないエピソードが詰まっていることがあります。
- 家族との会話: 家族に当時のことを尋ねてみるのも良いでしょう。新しい発見があるかもしれません。
全てを揃える必要はありません。今、手元にあるものだけで十分に始められます。
ステップ3:書くツールを選ぶ
書く方法は、ご自身にとって一番手軽で続けやすいものを選びましょう。
- ノートとペン: 一番シンプルで、どこでもすぐに始められます。手書きの温かさも魅力です。
- パソコン: 文書作成ソフト(Wordなど)を使えば、編集や保存が簡単です。文字を打つのが苦にならない方におすすめです。
- スマートフォンやタブレット: メモアプリなどを使えば、思いついた時にすぐに書き留められます。
- 音声入力や録音: 文章を書くのが苦手な場合は、話したことを録音したり、文字に変換したりするのも一つの方法です。
複雑な機能は必要ありません。簡単な操作で使えるツールで十分です。
ステップ4:気軽に書き始めてみる
準備ができたら、早速書いてみましょう。
- どこから始めてもOK: 時系列に沿って最初から書く必要はありません。一番思い出深いエピソードや、書きやすいテーマから始めて構いません。
- 完璧を目指さない: 最初から「良い文章を書こう」と気負う必要はありません。まずは、思いつくままに、箇条書きでも、単語だけでも良いので書き出してみましょう。
- 断片的なエピソードから: 「あの時、こんなことがあった」「この場所は、こんな思い出がある」というように、断片的なエピソードを書き溜めていくのも良い方法です。後から整理したり、繋げたりすることもできます。
書くこと自体を楽しむことが大切です。義務感にとらわれず、ご自身のペースで進めましょう。
費用と注意点
自分史・家族史を綴るのに、特別な費用はほとんどかかりません。ノートやペンの購入、あるいは普段お使いのパソコンやスマートフォンの使用料程度です。
注意点としては、ご自身の記憶に基づかない、不確かな情報を事実として書かないこと、そして、ご家族など他の方のプライバシーに関わる内容を書く場合は、その取り扱いに配慮することが挙げられます。公開する目的でなくても、将来的に誰かの目に触れる可能性があることを意識しておくと良いかもしれません。
綴ることで生まれる時間
セカンドライフの自由な時間を使って、ご自身の人生やご家族との歩みを文字にすることは、単に記録を残すだけでなく、ご自身の内面と向き合う貴重な時間となります。書き進める中で、忘れていた喜びや、乗り越えてきた困難、周りの人々への感謝など、様々な感情が湧き上がり、ご自身の人生に対する新たな視点が得られるかもしれません。
ぜひ、肩の力を抜いて、手軽な一歩として自分史・家族史を綴ることに挑戦してみてはいかがでしょうか。新しい時間を、より豊かに、より深く楽しむための素晴らしい方法となる可能性があります。